研究科長挨拶

ご挨拶

 地球社会はテクノロジーの進展に伴って、先進国、途上国を問わず、急速に都市化してきましたが、この都市型社会における市民の日常生活は、公共の政策や制度のネットワークで形成されています。またインターネットなどの普及によって、各地の情報は瞬時に世界のすみずみまで伝わるようになりました。
 近年、「ネットワーク・ガバナンス」という言葉も用いられるようになりました。地方、国家、国際の諸現象は相互に関連、提携しながら利用しあう度合いが強まり、かつ社会の変動の加速化に対応して迅速に政策を打ち出すことがますます重要になってきています。それと同時に、いま「公共」の概念について再検討することが急務となっています。
 1980 年代からNPM(New Public Management)が広まり、民営化、民間委託、PFI などの手法が採り入れられてきました。しかしNPM の市場原理によって「効率性」を追求していくと、もともと「公共」が備えているべき「公平性」が損なわれる危険性があります。この「公平性」と「効率性」のバランスこそが公共を経営する上で、きわめて重要なのは言うまでもありません。
 本研究科は2003(平成15)年4 月に設立されて以来、政府・民間・シビック3 部門の分業・協力に基づく共通問題の解決を公共経営の本質的要素として捉え、そこにおける公平と効率の均衡を中心的視座として教育と研究を展開してきました。そして1 年制コースおよび2 年制コースの専門職学位課程において修士号を取得できるだけでなく、2006 年4 月から博士後期課程が設置されてより高度な研究要請に応えることができるようになりました。
 初年度の本研究科の修了者は13 名でしたが、2010 年9 月現在、専門職学位課程の修了者は総計396 名、博士後期課程の修了者も総計10 名と、本研究科の教育方針のもとで着実に人材を育成してきました。さまざまな職種や分野の社会人と学部新卒者たちが交流しながら学びあえるのも本研究科の特色となっています。
 建学以来130 年近くの歴史を有する早稲田大学で、大隈重信の実学の精神に立脚した公共経営研究科は設立後まだ8 年と歴史の浅い研究科のひとつです。大隈重信はかつて、「考えのないところには方法がなく、志がないところには結果があろうはずがない」と述べました。学生の皆さんには、自主性を重んじる当研究科において時代を切り拓くリーダーをめざして研鑽を積まれ、足跡を刻んでいただきたいと心から願う次第です。
公共経営研究科長  江上 能義
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