カリキュラム
カリキュラム
「公平」と「効率」の均衡
公、民問わず構造改革(リストラクチャー)が叫ばれ、世の中の仕組み自体が大きく変わろうとしています。しかし、さまざまな要素が絡み合い、複雑化する社会においては、「どのように変わっていけばいいのか」という問いに対して適切な解答を見出すのが難しくなっています。
1980年代から広まったNPM(New Public Management)も、解答を見出すための試みの一つです。これは、民間の市場原理を導入することによって、行政改革を進めていこうというもので、民営化、民間委託、PFI(Private Finance Initiative)などの方法論が議論されてきました。しかし、このNPMの市場原理によって「効率性」を追求していくと、本来「公共」が備えているべき「公平性」が損なわれる危険もあります。「効率性」の追求によって生まれた余剰によって「公平性」を実現するべきなのに、そうなってはいないケースも見られます。
「公」が「民」の市場原理を取り入れる一方で、環境問題など、民間企業も「公共性」を考えなければならない場面が増えています。
さらに、NPO/NGOなどの第三の組織が広がりを見せるなど、「公」と「民」の垣根は限りなく低くなっているのが現状です。
こうした状況下では、「公」の持つ「公平性」と「民」の持つ「効率性」のバランスを考えることが、政策を判断していく上できわめて重要になってきます。ある場面では「公平」が優先され、またある場面では「効率」が優先される―この判断を適切に行える能力が、現代さらには未来にわたってのリーダーには必要不可欠なのです。
本研究科では、この「公平と効率の均衡」、そしてそれを踏まえた政策判断能力の育成を、カリキュラムの一つの柱としています。
3つのフォーカス(研究領域)
「公共経営」における「公平と効率の均衡」、またそれに基づく有効な政策立案を実現するために、3つのフォーカス(研究領域)を設けています。3つのフォーカスとは、中央官庁や地方自治体で活躍する人材の育成と、現職公務員のブラッシュアップ、研修の場としての「行政」、政治家や政策秘書、NPO/NGO、国際機関で働く人の政策の立案、実行評価の能力を磨く「公共政策」、一般企業はもち
ろん、シンクタンク、コンサルティング会社などでの、マネジメント能力やコンサルティング能力を涵養する「公共経済」から成ります。また、これら3つのフォーカスを横断し、ゆるぎない歴史観、価値観に基づいて時代を読み取る力を養成する「情報・ジャーナリズム」の科目群を設置しています。
インターンシップなど実践的教育方法
実践的な政策判断能力を養うため、中央官庁、地方自治体、国会議員事務所、マスコミ等でのインターンシップやフィールドワークなどを取り入れています。インターンシップの派遣先に関してはパートナーシップ提携先や国会稲門会(早稲田大学卒業生の国会
議員組織)の協力を得ることもあります。
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過去のインターンシップ先 |
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朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞社、日本経済新聞社、TBS テレビ、電通、 中央官庁、地方自治体、社会経済生産性本部、国会議員事務所 など |
修士論文での具体的政策の立案
いかに優れた政策判断能力やアイデアを持っていたとしても、それを具体的な政策に具現化できなければ、意味がありません。本研究科では全員が、修士論文において具体的な政策立案、あるいは政策評価を行います。
現代社会における公共経営の担い手は、大きく行政機関、民間企業、NPO/NGOの三つのセクターに分けることができます。また、それぞれの政策を評価し、セクター相互をネットワークするメディア・ジャーナリズムがあります。本研究科のカリキュラムを履修することにより、どのセクターの立場からも、具体的な政策立案あるいは評価が可能になります。
カリキュラムでは、まず、政治学、法学と経済学の基礎教育と、統計的手法等のツールを身につけます。
その上で、学生それぞれの立場や興味・関心、研究テーマに応じて講義科目や演習を履修し、これらで得た知見やアイデアを、修士論文で具体的政策立案・評価に集約させます。
特色ある研究指導方法
複数教員による指導体制
本研究科では、従来型の大学院で行われている、一人の教員による研究指導体制をとりません。複数の教員のさまざまな異なる意見や視点を取り入れながら、学生が主体的に研究を行っていくところに本研究科の特色があります。学生には、入学選考に応募した段階でそれぞれのプロファイルブックが作られます。入学後は、それに基づき、指導が進められ、研究記録が蓄積されていきます。修了時には、そのファイルの集大成として修士論文を作成することになります。
フレキシブルな演習履修システム
従来型の大学院や大学では、学生は特定のゼミナールに所属し、通年あるいは複数年間にわたる活動が行われます。本研究科では、そうした大学院・大学における縦割りの演習のあり方にもメスを入れ、従来にない画期的な方法で演習を運営していきます。
演習では、1セメスターがさらに3つの「クール」に分けられます。1クールは、テーマの提出、課題の提示、課題発表、課題評価というサイクルで運営されていきます。
学生はクールごとに受講したい演習を選択し、その演習の担当教員に自分がとりあげたいテーマを提出。教員は、そのテーマと学生のプロファイルブック等をもとに「課題」を提示します。学生はその課題に対して小論文を作成、発表を行い、教員の評価を受けます。各セメスターの区切りで、研究計画の見直し等が行われ、修了時には、その集大成として修士論文を作成し最終発表を行います。
たとえばファーストクールにA教授の演習を受け、セカンドクールにB教授の演習を受講する、といったことが可能(2つの演習の平行履修も可)で、修了までに3人以上の教員の指導を受けることが求められています。
複数の教員の指導を受けることにより、ある教員が言ったことと別の教員が話した内容が矛盾するケースも出てくるかもしれません。そうした矛盾を、個々の学生が引き受け、その中で自分の考えを形成していく−このことは、「お互いに相容れない意見や状況が複雑に絡み合う中で政策を作っていく」という現実の政策判断をシミュレーションすることになります。大学院での研究が、そのまま、実際の政策判断の訓練になるという仕組みなのです。
