政治学研究科長挨拶

大学院政治学研究科
研究科長 田中 孝彦

 政治学研究科に関心をお持ちいただきありがとうございます。
 早稲田大学大学院政治学研究科は、1951年に創設されて以後、60年余にわたって、戦後日本の政治学と政治の現場に有為の人材を送り出してきました。早稲田大学がその130年におよぶ歴史の中で培ってきた、政治学の研究指導の伝統の上に、さらに高度な政治学研究の拠点を築きあげ、世界に通用する政治学研究者と実践的リーダーを生み出していくことが、本研究科の目的です。

 現在、政治学研究科は、伝統にあぐらをかくことなく、さらに最先端の高度専門知識を備えた、グローバル・リーダーを輩出するために、この10年にわたって様々な改革をすすめてきました。国内の他の政治学系大学院にみられない、徹底した方法論教育、体系的にくみ上げられたコースワーク、学生諸氏が研究の進捗度を確かめながらスムーズに学位を取得できるような仕組みを、本研究科は備えてきています。また、政治と経済の交錯と、国際と国内の相互浸潤が進むこの世界を読み解くために必要な知識の獲得を、経済学研究科との緊密なコラボレーションのもとに可能とする国際政治経済学コース、専門知と実践の融合を目指し、混迷する世界を的確に読み解き発信する能力を鍛えるジャーナリズム・コースを提供しています。これらに加え、2012年9月からは、Global Governance Programを国際政治経済学コースの中に立ち上げ、国際機関やNGOを通じて地球社会に貢献しようという志と大望を持った学生諸氏を、強力にサポートする体制を整備していくことになりました。

 2012年度からは、これまで独立研究科として公共政策分野での実践的人材を生み出してきた公共経営研究科を、新たに政治学研究科に公共経営専攻として統合し、政治学研究科のスタッフとのコラボレーションを強化することを通じて、さらに強力な高度専門職業人養成の体制を作り上げました。

 私たちは、この改革を通じて、全国的にみても大学院改革の旗手として自らを位置づけることができると自負しています。

 日本政治と社会も、そして地球社会全体が、いま混迷の中にあります。震災後の復興をすすめる過程で、また原発事故への対応の過程で、日本の政治と社会に存在している多様で深刻な欠陥があらわになっています。地球社会にも、金融危機、核拡散の懸念、地球環境の破壊など、解決しなければならない問題が山積しています。このような時代に生きる私たちは、これらの巨大な問題に直面して、無力感と敗北主義に苛まれ、思考停止状況に陥りがちです。「知」を軽視し「情」にのみ訴えかける、破壊的な言説の力に飲み込まれてしまう危険が非常に大きくなっているともいえるでしょう。

 そんないまこそ、「知」を駆使し、地球社会への貢献を自己実現の道と考えるグローバルな「志」を、政治の世界に注入する必要があるのではないでしょうか。震災の際に私たちが受けた、世界中からの物心両面での熱い支援に応えるためにも、思考停止に陥ることなく、勇気を奮い起こして、日本の政治を正しい方向へ導き、地球社会に貢献することを、一人一人が考える必要があると思われます。

 政治学研究科は、このような問題意識をもった教員と学生がともに学び、望ましい地球社会を作り上げていくための、志と知を鍛えていく場です。そんな研鑽の場として、より刺激的で知的活力にあふれた研究と教育の拠点を、皆さんとともに築きあげてゆきたいと、私たちは考えています。

 :

↑ページ上へ戻る